
『大江健三郎全小説6』(全 15 巻)
書籍情報
書籍ID | b338 |
---|---|
著者名 | 大江健三郎 |
出版者 | 講談社 |
出版年月日 | 2019(平成31)年1月10日 |
頁数、判型 | 総592頁、A5判 |
構成 | 本扉、目次pp.1-3、中扉、本文pp.7-536、「知の懐かしさの容れ物として」(尾崎真理子、初出)pp.538-558、「大江健三郎 アルカイック・ノスタルジーと暴力の系譜」(アントナン・ベシュレール、初出)pp.559-578、書誌一覧pp.579-583、編集付記p.584、ブックデザイン・ カバー原稿 p.585、奥付 p.587、奥付裏広告pp.590-591 |
収録内容 | 身がわり山羊の反撃 pp.7-63 /『芽むしり仔撃ち』裁判 pp.65-135 /揚げソーセージの食べ方 pp.137-154 /グルート島のレントゲン画法 pp.155-177 /見せるだけの拷問 pp.179-205 / メヒコの大抜け穴 pp.207-245 /もうひとり和泉式部が生れた日 pp.247-260 /その山羊を野に pp.261-284 /「罪のゆるし」のあお草 pp.285-321 /いかに木を殺すか pp.323-364 /ベラックヮの十年 pp.365-376 /夢の師匠 pp.377-398 /宇宙大の「雨の木(レイン・ツリー)」pp.399-424 /火をめぐらす鳥pp.425-435 /「涙を流す人」の楡(にれ) pp.437-448 /僕が本当に若かった頃pp.449-487 /マルゴ公妃のかくしつきスカート pp.489-505 /茱萸(ぐみ)の木の教え・序 pp.507-536 |
帯 | 〈表〉ノーベル文学賞作家が献げる、物語の花束/短編小説の可能性を大きく拓いた 18 編の名品/小説の技術の粋を尽くして人間の不可思議な巡り合わせを胸に迫る懐かしさで描き出す/〈中期傑作短・中編〉 〈裏〉大江作品の魅力はその中二病的要素にあるという指摘は多くの人がしてきたが、それは昔風のいい方では反骨精神のことであり、また愚行の自由の行使も伴う。個人は情報化され、集団の同調圧力によって、自由に制限され、特異性を剥ぎ取られてしまったが、それでも群集を離れ、孤立した時、その人の思考は特異性を保ち、アウラを放つ。いわば、異端思想として強い影響力を持ちうる。(略)大江さんはパブリックにはリベラルのシンボル的知識人と見倣されているが、そのような画一化された分類から常にはみ出す特異性を文学において発揮してきた。たとえ全体主義が復活し、リベラルが弾圧を受けることになっても、持久戦、撤退戦を支える理由、方法、逃げ場は大江さんの作品群にしっかりアーカイブされている。洗脳を免れるには左右二つに割れた脳を生かし、面従腹背、ダブルスタンダードでしのぐ、そんな知恵の宝庫としての大江文学を共有できる相手を私は友人と見倣してきた。友人が少ないのはそのせいだともいわれたが、孤立を恐れなくなったのも大江文学のお蔭である。——島田雅彦/群像リレーエッセイ「私と大江健三郎」= 「大江さんのこと」より/講談社創業 110 周年記念企画 |
装幀 | 鈴木成一デザイン室 |
定価 | 5800円 |
備考 | - |